低コスト耐候性ハウス

低コスト耐候性ハウスのご案内

【概要】 低コスト耐候性ハウスについて

  近年の園芸施設設置面積は約40,600haですが、それらの過半は建築構造的に脆弱なパイプハウスで占められており、毎年、台風や豪雪により大きな被害を受け、施設園芸農家の経営を不安定なものにしています。1999年台風18号による熊本県の大災害を契機に、農水省から低コスト耐候性鉄骨ハウスの開発要請があり、当協会が中心になって検討した結果、 風対策と雪対策の施工マニュアルを作成しました。2001年度からは農林水産省の補助事業(輸入急増農産物対応特別対策、生産振興総合対策事業、強い農業づくり交付金、産地生産基盤パワーアップ事業等)の対象として普及が進められております。

【低コスト耐候性ハウスとは?】

(1)耐候性

 (1-1)風対策:風速50m/秒の耐風強度を持つハウス (現在の補助事業要件では、一律風速50mではなく、その地域の過去の最大瞬間風速を耐風強度としてもよい) 。

 (1-2)雪対策:新雪50kg/㎡の積雪に耐えうるハウス (マニュアルで標準仕様例A・Bを提示しているが、条件が整えば、標準仕様例Aのように、園芸用施設安全構造基準(暫定基準)に基づく、低減措置の適用が可能である)。

  それぞれについて、鉄骨ハウスについては、「低コスト耐候性鉄骨ハウス施工マニュアル-風対策-」(平成13年3月)、「低コスト耐候性ハウス施工マニュアル-雪対策-」(平成14年3月)としてとりまとめました。

(2)低コスト

 従来の方法でその地域で上記の耐候性を持つ鉄骨ハウスの本体工事をした場合の費用の70%程度であること。
「低コスト耐候性ハウス」の説明図 はこちらです。(PDF:128KB)

 

【「低コスト耐候性鉄骨ハウス施工マニュアル-風対策-」の要点】 

(2-1)鉄骨ハウス型式については、園芸施設共済における型式区分のプラスチックハウスⅢ類・Ⅳ類ハウスで、改良・補強により50m/秒以上の耐風強度を確保することが可能なハウスとする。

(2-2)基礎については、埋め込み式の独立基礎とする。(図1,2)
<図1>       <図2>

(2-3)主要骨材は、角パイプ・H形鋼・C形鋼・亜鉛メッキパイプとする。 (2-4)被覆資材は、プラスチックフィルムとする。 (2-5)補強については、構造診断指導に基づき次の方法により補強する。 ア)本体が構造的に強度不足の場合には、次により補強する。
(ア-1)鉄骨・パイプ等の部材補強

(ア-2)接合部の補強

(ア-3)柱脚固定法による主骨材の強度アップ

イ)基礎部が強度不足の場合:セメント系固化材使用による基礎強化を行う。

【「低コスト耐候性ハウス施工マニュアル-雪対策-」の要点】

 本協会のハウスメーカー会員4社の協力を得て、雪対策・低コスト耐候性標準型ハウスのモデル設計を行った。

ハウスの形態は、単棟(A型、両屋根式)および2連棟(B型、丸屋根式)の2種類とした。これらのモデルハウスについて建設費の積算見積りを行ったところ、同規模のプラスッチクハウスⅤ類の設計価格と比較して、約70%程度の設計価格で補助事業の要件に合致し、建設可能なことが判明している。

これらのモデルハウスについては、協会の構造診断指導委員会において構造診断を実施し、所定の耐雪性能(単棟については、荷重軽減により30kg/㎡、連棟については、50kg/㎡)が確保されていることを確認して、雪対策マニュアルに、参考標準仕様及び設計例として掲載している。単棟については「暫定基準」に基づく条件をすべて満足しているものとし、荷重を低減して、30kg/㎡で設計している。

なお、屋根材については、硬質プラスチックフィルムとしているが、今回の標準仕様のPOフィルムは、同程度の機能(耐候性・雪の滑落性)を備え、かつ展張方法も検討されているので、価格低減ため使用することができることとした。

以上のように、雪対策低コスト耐候性ハウスの設置にあたっては、マニュアルの参考標準仕様例を用いる場合は、すでに構造診断は終了しているので、構造診断の必要はありません。しかし、これを参考に新しく設計する場合は、マニュアルにしたがって構造診断指導を受け、安全性能を確認する必要があります。

【普及にあたっての留意事項】
1. 「低コスト耐候性ハウス」の建設に当たっては、 マニュアルと当協会発行の「園芸施設安全構造基準(暫定基準)」に従い、施工方法等を十分検討し、関係者に十分理解してもらう必要があります。
2. 本マニュアルは、絶対的なものではなく、利用者の知恵と工夫により、生産現場に、より適応した理論的・計数的に裏付けられた「低コスト耐候性ハウス」を開発する必要があります。
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